セミナー報告

3月27日開催 第6回としま・まちごと福祉支援プロジェクト会議「〜医療・看護〜」ご報告

日時:2020年3月27日(金)18:30~20:30
場所:コミュニティネットワーク協会 池袋事務所
   豊島区南池袋3丁目13-9 ビスハイム池袋202
   JR池袋駅東口徒歩4分・西武池袋線「池袋駅」西武南口徒歩2分
参加費:無料
※動画配信あり(事前登録要)

開催報告

3月27日開催「第6回としま・まちごと福祉支援プロジェクト会議」無事終了いたしました。
今回は「医療・看護」をテーマに、ゲストスピーカーをお招きし、お話ししていただきました。
前回に引き続き動画配信。チャットによるワークショップ(意見交換)も交えた開催となりました。

はじめに、としま・まちごと福祉支援プロジェクトの共同事業者である、エンジョイワークスの佐藤穂奈美さんからとしまPJ進捗のご報告。


1.空き家となっている戸建て住宅の活用(住宅4室)については、オーナーさんと4月上旬に契約予定です。

もともとは、オーナーさんはファミリー向けに貸し出す予定だったと伺っています。担当の不動産会社さんがオーナーさんとCN協会をつないでくれ、ファミリー向けの住宅ではなく、シェアハウスにすることに同意してくれました(注:この住まいはセーフティネット住宅として登録する予定です。オーナーさんとCN協会の賃貸借契約→行政への登録申請→認可後に正式決定となります)

なお、セーフティネット住宅とは、「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない住宅のことです。
具体的には、低額所得者、被災者、高齢者、障がい者、子育て世帯などとされています。
 (詳しくはこちら↓)
 https://www.safetynet-jutaku.jp/guest/system.php

当協会ではその数を順次、増やしていきますが、第一号の入居者は4名募集予定です。

今、考えているのは、障がいをお持ちの者で、自立生活をするために住む場所を探している方、新たな住まいを探している方を考えています。

今後整備する戸建てでも
・一人で子育てしている方
・生活保護受給者
・高齢者
など対象を広げていきたいと思います。


2.交流拠点も候補地が2つ挙がっています。

物件はまだまだ募集中ですので、宜しくお願い致します。

そして今回のメインイベント。医療という側面からの見守りについて、今回はクローズアップします。まずは南池袋訪問看護ステーション
厚美道子さんによる「生活の中に医療?生まれてから最後まで、病気があっても安心して生活できる地域を目指して?」

厚美さんのお仕事は、訪問看護(生活に沿った医療相談)。後ろを振り向いたらサポートしてくれるような存在です。


3.厚美道子さんのお話

まず普通の1日の生活を振り返ってみます。その生活の中で、できることできないことを判断していきます。
例えば、

・起床(一人で起きあがれるか)
・洗顔(蛇口がひねれるのか)などまずは状態を知ること。
・続いて、排泄・食事・外出など細かく様子を知り、介助が必要な部分を把握します。

その上で一番大切なのは

1、ご本人の意思、楽しみ、生きがいを尊重すること
2、ご家族の意思、介助の負担軽減
です。

介護の大きな問題として直面するのが「寝たきりになった時、食事ができなくなった時どうするか」。自宅でできることはあります。公的サービスを使いながら、できることをする。
デイケア、訪問サービス、宿泊などの利用も併用します。

また介護される方を尊重するために、アドバンス・ケア・プランニング(患者さん本人と家族が医療者や介護提供者などと一緒に、現在の病気だけでなく、意思決定能力が低下する場合に備えて、あらかじめ、終末期を含めた今後の医療や介護について話し合うことや、意思決定が出来なくなったときに備えて、本人に代わって意思決定をする人を決めておくプロセスを意味する)についてもお話ししておくなど、現場での貴重なお話を聞かせていただきました。

とは言っても自分が病気になったら、、、どうすればいい?
そこでお二人目の登壇者、在宅看 護研究センターLLP
メッセンジャーナース鈴木紀子さんによる「医療の受け手と医療者をつなぐメッセンジャーナース」のお話しに続きます。

在宅看護の話を受けて、まずはメッセンジャーナースとは何かお話しいただきました。


4.鈴木紀子さんのお話
  • 医療が必要となった時「自分らしく居られる事」を重視して医療の受け手が治療を選択する。
  • 医療者に医療の受け手の思いが十分伝わらない時や認識がずれることがある。医療者に自分の価値観を伝えたい・理解してもらいたい。そして最期まで納得できる治療を受けたい。
  • そのような時、対話を重視し、医療の受け手自ら選択・納得に至るまでの懸け橋となるのが「メッセンジャーナース」である。「家族の思いが伝わらない、医師の説明が伝わらない」メッセンジャーナースはその間をつなぐ役割。
    2010年にスタートし今34都道府県、131名になりました。

事例として挙げられたのが「家族が望む、在宅死を叶えるために」。
病院が嫌い、寝たきり、在宅医療を求めた80代の男性。
脳梗塞・誤嚥性肺炎・心不全。誤嚥性肺炎で再入院。検査の結果、癌・転移もあり末期との説明を受ける。
容体が落ち着き、退院の話の後再び容態が変化した時。

  • 主治医は「退院を伸ばした方がいい」「急変のリスクがある」
  • 家族は「(医師の)説明を聞いたがよく分からない、元気になったと思ったのに」とメッセンジャーナースに相談。
  • メッセンジャーナースは「急変の可能性が伝わっていない」と受け止め、同席した上で、改めて主治医からの説明をお願いしました。その場で家族の言葉と思いを主治医に伝える、又主治医から家族に意図を説明。
  • 患者さんが家での看取りを希望→実現

ここまでの流れを現場でやりとりした再現でお話ししていただき、大変心を動かされました。

また東池袋フレイル対策センターでの活動では、医療相談のお仕事を担当されています。
受診先の希望、緊急時の対応、障害者手帳申請の手助けなどのご相談を受け、相手が自分でもできることを促します。
その方の生き方、考え方を受け止める。本人の意思を尊重する。本人との確認が大事。

それを踏まえて、自分らしい生き方を貫くためにということで
続いてのワークショップと質問コーナーに繋がります。
ワークショップでは
1、病気になっても大切にしたいもの、続けたいもの
2、こんなものあったらいいな企画
を、ライブチャットで募集。様々な意見交換ができました(一例を紹介します)

◉元気な秘訣を教えてもらえる会合がほしい
→看取った経験、介護した経験、仕事を生み出す、その他

◉動物とのふれあい
→動物がいる暮らし

◉家事代行などお手伝いできること
→ビジネスとして家事代行というより、「おかずたくさん作ったから、おすそ分け」のような共生のあり方ほしい。

◉賃貸住宅の高齢者住宅、大家さんができることは?
→鍵の管理が大切。認知がしっかりしている間に鍵を入れておける「キーボックス」があるといい。いざというとき、医師、看護師、ヘルパーが鍵をあけて入ることができる。
大家さんは「少し心配な状況」と察知したら、地域包括につないでほしい。

◉バリアフリーにリノベーションするニーズはある?
→大掛かりに改修しなくても、たとえばつっぱり棒で解決できたケースもある。
動線上につっぱり棒をつけたら、家の中を動けるようになった。
地域包括に相談を。

◉フレイル予防に大切なことは?
→運動、栄養、口腔ケア、社会参加

最後にお二人から、としま・まちごと福祉支援プロジェクトに期待することをお話頂きました。
鈴木さん「誰でも、どんな状態でも自分らしく暮らせる仕組み。たとえば、退院してすぐに家に帰るのは難しいけれど、1週間位滞在できる場所があり、見守ってくれる人がいる場所づくり」
厚美さん「制度の中での介護、看護ではなく、ちょっとした見守りがあり、赤ちゃんから高齢者までの居場所づくり」

アドバンス・ケア・プランニングやメッセンジャーナースという言葉や職業を始めて知ったという方が多い中、この講演会は大変有意義なものとなりました。
今回の動画配信は、申し込まれた方を対象としたライブ配信に限定しました(患者さんの個人情報の観点から)。ユーチューブで視聴されて頂いた方たちからは、チャットでたくさん質問が寄せられ、関心の高さを感じました。またこのような機会を設けたいと思います。

イベントの様子