セミナー報告

3月17日開催「空き家を有効活用した居住支援のあり方」千葉大学教授の小林秀樹さんによる講演会レポート

日時:2020年3月17日(金)18時30分~20時30分
場所:コミュニティーネットワーク協会 池袋事務所
   豊島区南池袋3丁目13-9 ビスハイム池袋202
参加費:無料
※動画配信

開催報告

3月17日に、千葉大学教授の小林秀樹さんによる講演会「空き家を有効活用した居住支援のあり方」を当協会の池袋事務所にて開催しました。

コロナウイルスが全世界で感染拡大するなか、初めてのライブ配信。お互いの顔はみえなくても参加型のイベントにしようと話し合い、配信中はチャットで視聴者のみなさんとも交流するという仕組みにしました。
スタッフも緊張の中、始まりました。

講演会をはじめるにあたり、まずはじめにとしま・まちごと福祉支援プロジェクトの共同事業者である、エンジョイワークスの佐藤穂奈美さんから、「空き家を活用したとしま福祉支援プロジェクト」の概要をご紹介。
としまPJでは、空家・空室の活用と低価格帯のサービス付き住宅の不足、双方の課題を解決するために活動も行っています。そこで発生する問題点の1つとして空家・空室の活用のハードルの高さがあります。今回の小林秀樹氏のお話では、そこを再確認し解決策を考えることにつながります。

そして今回のメインイベント、小林秀樹氏による「空き家を有効活用した居住支援のあり方」。
現在、国や自治体が重視する政策の1つとして空家・空室をセーフティネット住宅(高齢者、障害者、子育て世帯などの入居を拒まない賃貸住宅)として活用し、居住支援をしていくことが挙げられます。
しかし実際には思うように進んでいません。
国や自治体の賃貸住宅の歴史を振り返ると、1951年から公営住宅(都営住宅や区営住宅など)の提供、1990年から始まった借り上げ住宅や都民住宅などがあります。しかしそれらを活用しようとすると、公営住宅は建設や土地の確保にお金がかかり、借り上げ住宅も、家賃が高い。家賃補助の継続も難しいという問題があります。
そこで民間住宅を活用して困っている人に提供しようという動きになってきたそうです。

さらに、福祉サービス・安心サービス(家賃保証など)を充実させて、大家さん、居住者の不安解消につなげる仕組みも作りました。
それでも空き家を活用した居住支援が進まない理由は、それらのサービスを本当に稼働してくれるのだろうか、誰が行うのだろうか(信用できるものなのか?)という不安感を拭いきれてないことと、サービスが高ければ家賃も高くなり、家賃補助の制度を利用しても、低所得者には難しいものになっているのではないかという部分もあります。
またその部分を福祉事業者が請け負ったとして、次に建築に関する法律の壁が立ちはだかります。
建築関連法規のお話はかなり専門的ですが、実際にコミュニティネットワーク協会が現在ぶち当たっているところでもあります。

古い空き家は、現在の建築基準を満たしていないことが多いです。建物の耐震性不足、延焼の防止措置、接道の不良など。これを既存不適格建築物とするのか、違法建築物とするかで大きく意義が異なりますが、どちらなのかの判断は難しいといいます。
「建てたときは合法だったけれど違法になった(既存不適格建築物)はOK」
「検査済証があればOK、確認済証はNG」
「検査済証がない場合、新たに検査済証を発行→建築当時の図面を新たにかきおこすなど必要で、これはかなり困難。
「検査済証がない場合でも、空き家活用にあたり200㎡以下の面積の用途変更はOK」
そこで小林教授によるチャート式物件探し法なども公開していただきました。
さらに心の問題として、大家さんを説得できる(社会的に役に立つということなど)素材を揃えて話をすることが必要。他にも社会的なことに目覚めやすいシェアハウスがあり、若い人がグループホームとの区別なく住み続けるようなこともあるかもしれない事例や、大家さん自身の安心や生きがい楽しさにつながると、理想的な関係が築けるとも。

あれ?これって私たちがまさにやろうとしていることではないですか!
気がつくとコメント欄にも沢山の質問が並んでいます。
最後に質疑応答の時間を設けましたが、全てはご紹介できないほど。
(アンケートは受け付けておりますので、疑問・質問・感想などは、お送りしている専用フォームをご利用ください)
配信後はスタッフと懇親会でしたが、熱気は冷めやらず、スタッフからも小林教授にご質問。
とても丁寧にお答えくださった小林教授に感謝いたします。

イベントの様子